― 創業の想いと、この1年間で見えてきたこと ―
2026年10月20日

2025年10月20日に設立したMiraiCraft八王子株式会社は、本日、設立1周年を迎えました。
おかげさまで、会社設立から2年目の歩みを始めることができました。
この1年間、仕事を通じてご縁をいただいた経営者の皆さま、企業で働く皆さま、専門家や地域の皆さま、そして私の新たな挑戦を応援してくださったすべての方々に、心より感謝申し上げます。
約30年間の会社員生活を経て、地元・八王子で創業したMiraiCraft八王子。
その出発点には、一つの想いがありました。
「子どもたちが将来『ここで働きたい』と思える企業を、八王子・多摩地域に一社でも増やしたい。」
設立から1年。
経営者の方々と向き合い、人と組織の課題を考え、さまざまな方とのつながりに支えられる中で、創業時に抱いていた想いが、少しずつ実感を伴うものになってきました。
今日は設立1周年という節目に、この1年間に見てきたこと、そして2年目に向けて改めて大切にしたいことをお伝えしたいと思います。
創業の原点にあったもの
私はこれまで、人事、法人営業、経営管理など、さまざまな立場から企業と働く人に関わってきました。
人事部門では、採用、人材育成、人事制度、労務など、人事領域全般を経験しました。
その後、自ら希望して法人営業の現場に立ち、顧客と向き合い、事業の成果を求められる仕事を経験しました。
さらに、人事総務部門の責任者として、人事の枠を越えた経営課題にも向き合ってきました。
その歩みの中で、私が大切にしてきたのは、
人事を個別の業務ではなく、企業の成長につながる一つの戦略として考えることです。
私が人事の仕事を始めたエプソンでは、社員を大切にし、安易な人員削減に頼らず、採用した人材とともに企業の成長を目指すという考え方がありました。
その環境の中で、採用した社員をどのように育て、力を発揮できる場所をつくり、企業の成長につなげていくのか。
採用、育成、配置、評価、処遇を、それぞれ独立した仕事ではなく、一つの人事戦略として考える必要がありました。
若い頃から人事領域全般に携わる機会を得られたことは、私にとって大きな財産です。
また、長年携わってきた少年野球の指導も、私の考え方に大きな影響を与えました。
当初は、自分の子どもが活躍できるチームであってほしいという想いもありました。
しかし、子どもたちと関わる中で、一人ひとりが自分の可能性を信じ、成長できるチームとは何かを考えるようになりました。
大切なのは、誰かを思いどおりに変えることではなく、それぞれが持つ可能性を発揮できる環境をつくること。
この考えは、企業における人材育成や組織づくりにも通じています。
これまでの経験を、これからは地元の企業や地域のために生かしていきたい。
そして、次の世代が自分の未来に希望を持てる地域をつくる一助になりたい。
そんな想いから、MiraiCraft八王子を創業しました。
この1年間、経営者と向き合う中で見てきたこと
創業後、私は中小企業の経営者の方々と向き合い、人事や組織に関するさまざまな相談を受けてきました。
人事制度や評価・報酬の仕組み、管理職の育成、社員との関係、労務上の課題。
相談の入口はさまざまです。
しかし、話を重ねていくと、最初に相談された問題の奥に、別の課題が見えてくることがあります。
経営者には、会社を成長させたい、社員にもっと力を発揮してほしいという想いがあります。
一方、社員にも、日々の仕事の中で感じていることや、大切にしている価値観があります。
その双方の想いが、必ずしも十分に伝わっているとは限りません。
経営者が伝えたつもりでも、社員には違う意味で受け止められている。
社員が感じていることが、経営者には届いていない。
こうした認識の違いは、どちらか一方が悪いという単純な話ではありません。
それぞれが置かれた立場から、違う景色を見ているのかもしれません。
だからこそ、私は経営者の話を丁寧に聴くことを大切にしています。
そして、必要に応じて社員や現場の声にも耳を傾け、双方の考えや背景を理解しながら、何が本当の課題なのかを一緒に整理していきます。
経営と現場の間にあるものを、丁寧に見つめる。
これまで大切にしてきた姿勢ですが、この1年間の支援を通じて、その重要性を改めて感じています。
制度を整えることが、目的ではない
人事の仕事に長く携わってきた私にとって、人事制度や評価・報酬制度は、企業を支える大切な仕組みです。
一方で、この1年間の支援を通じて、改めて強く感じたことがあります。
それは、
制度を整えることと、組織がよくなることは、必ずしも同じではないということです。
例えば、評価制度を見直すとき。
評価項目や基準を整えることは必要ですが、その前に、経営者が社員に何を期待しているのか、社員がどのようなことに納得し、どこに疑問を感じているのかを理解することも大切です。
管理職を育成するときも同じです。
知識やスキルを学ぶ機会を設けるだけでなく、その人がどのような役割を担い、どのような関係性の中で力を発揮しようとしているのかを考える必要があります。
制度は、それ自体が目的ではありません。
人が働きやすくなり、成長し、企業が持続的に発展していくための手段です。
そして、制度をつくって終わりにするのではなく、それが現場でどのように受け止められ、運用され、改善されていくのかまで見ていきたい。
さらに言えば、
その制度を企業自身が育て続けられる状態をつくることが重要だと考えています。
外部の専門家が優れた制度をつくったとしても、それを理解し、運用し、改善できる人材が社内にいなければ、企業の力として根づいていきません。
だからこそ、制度を考えるときほど、その先にいる「人」を見失わないようにしたいと思っています。
経営者にも、安心して話せる相手が必要
この1年間で、もう一つ強く感じたことがあります。
それは、経営者自身にも、安心して考えを整理できる相手が必要だということです。
中小企業の経営者は、事業の成長、社員の生活、採用や人材育成、日々の経営判断など、多くのことを背負っています。
特に、先代から事業を引き継いだ経営者には、これまで築かれてきたものを大切にしながら、自分自身の考える経営を実現していく難しさがあります。
先代からいる社員との関係。
幹部や管理職の育成。
経営方針を、どのように社員に伝えていくのか。
簡単には答えの出ない問題も少なくありません。
こうした課題に対して、外から正解を持ち込むだけでは、十分な支援にならないと考えています。
まずは経営者の話を聴き、何が起きているのかを一緒に整理する。
必要に応じて社員の声を聴き、制度や育成の仕組みを考え、専門家の力も借りながら、一つずつ取り組んでいく。
私が目指しているのは、経営者に代わって答えを出すことではなく、経営者が自ら納得して前に進めるように支えることです。
経営者の身近に、人と組織のことを安心して相談できる相手がいる。
そんな存在であることが、MiraiCraft八王子の大切な役割なのだと感じています。
人とのつながりが、仕事を支えてくれた
創業してからの1年間は、人とのつながりのありがたさを改めて感じる時間でもありました。
これまでの仕事で出会った方々、少年野球を通じて築いてきた関係、そして新たな活動の中で出会った経営者や専門家、地域の方々。
さまざまなご縁が、今の私の活動につながっています。
また、企業が抱える課題は、一人の専門家だけですべて解決できるものではありません。
人事、労務、法律、経営など、それぞれの専門性を持つ方々と連携することで、企業にとってよりよい支援ができると考えています。
私自身も、さまざまな方との対話を通じて、新たな視点や気づきをいただいてきました。
人と人との関係性を大切にすることは、私が企業にお伝えしていることでもあります。
そして、それは私自身の仕事の進め方にも欠かせないものだと感じています。
支援する立場でありながら、私自身も多くの方に支えられ、学ばせていただいている。
そのことへの感謝を、忘れずにいたいと思います。
地域の未来をつくるのは、そこで働く人たち
創業時に掲げた、
「子どもたちが将来『ここで働きたい』と思える企業を、八王子・多摩地域に一社でも増やしたい。」
という想い。
この1年間を通じて、その意味を改めて考えてきました。
私は、ITの普及や働き方の変化によって、これからは地元で働くという選択肢の価値が、さらに高まっていくのではないかと考えています。
一方で、地域で働くことを選んだとき、必ずしも十分な数の企業や仕事から選べるとは限りません。
だからこそ、地域にある一社一社が、社員の可能性を引き出し、長く働き続けられる企業になることが大切だと思っています。
私が目指したいのは、社員が安心して働き、成長し続けられる企業です。
企業には、社員を長く雇用できる持続的な経営基盤が必要です。
同時に、社員自身が「この会社で働き続けたい」と思える環境も必要です。
「働き続けられる企業」と「働き続けたい企業」。
その両方を実現できる企業を、地域に増やしていきたい。
それは、単に長く雇用することだけを意味するものではありません。
自分の仕事に意味を感じられること。
成長する機会があること。
互いを尊重し、安心して意見を伝えられる関係があること。
経営者の想いが、働く人たちにも伝わっていること。
そして、企業の中に、自分の可能性を広げていける環境があること。
そうした積み重ねが、長く働きたいと思える企業をつくっていくのではないでしょうか。
地域に魅力ある企業が増えることは、そこで働く人たちだけでなく、その家族や、これから社会に出る子どもたちにとっても大切なことです。
企業を支援することと、地域の未来に関わることは、私の中では別々のものではありません。
一社一社の企業が、人を大切にし、人が育つ組織になっていく。
その積み重ねが、地域の未来につながっていく。
創業時には想いとして抱いていたことが、この1年間の活動を通じて、より具体的なものになってきました。
2年目に向けて ― 企業が自ら成長する力を育てる
この1年間の経験を経て、2年目に向けて、より明確にしていきたいことがあります。
それは、企業の中に、人事戦略を描ける人を育てることです。
私自身、若い頃に人事領域全般を経験したことで、採用から育成、配置、評価、定着までを、一つの戦略として考えることができるようになりました。
しかし、時代とともに人事の専門分化や分業化が進み、個別の業務には精通していても、人事全体を経営戦略と結びつけて考える機会は、以前より少なくなっているのではないかと感じています。
採用した社員を、どのように育てるのか。
一人ひとりが力を発揮できる場所を、どうつくるのか。
社員の成長を、企業の成長にどうつなげていくのか。
そして、社員が長く働きたいと思える企業を、どう実現していくのか。
これらを一貫して考え、実行できる人材を、企業の中に育てていきたいと思っています。
そのために私が大切にしたいのが、「企業へのコーチング」という考え方です。
コーチングとは、相手に答えを与え続けることではなく、相手が自ら考え、気づき、行動できるように支援することだと考えています。
企業への支援も、同じです。
経営者とともに考え、人事担当者を育て、管理職や社員の可能性を引き出す。
そして、企業自身が課題を見つけ、解決し、成長し続けられる状態を目指す。
企業が永続的に成長するためには、外部の力だけではなく、企業の内部に、自ら成長する力が必要です。
外部の専門家として関わる私の役割は、その力を企業の中に育て、残していくことだと考えています。
これが、2年目のMiraiCraft八王子が、より一層大切にしていきたい支援のあり方です。
2年目も、目の前の一人から
この1年間で、何か大きな答えにたどり着いたわけではありません。
企業ごとに置かれた状況は異なり、経営者にも社員にも、それぞれの考えや事情があります。
だからこそ、決まった方法を当てはめるのではなく、まず相手を理解するところから始めたいと思っています。
私が大切にしている言葉があります。
「人を変えるのではなく、人が自ら成長できる環境と関係性をつくる。」
これは、これまでの経験を通じて学び、今も大切にしている考え方です。
2年目も、経営者の声に耳を傾け、現場で働く人たちの想いを知り、企業が抱える課題に丁寧に向き合っていきます。
制度だけでもなく、対話だけでもない。
経営と現場、制度と人の内面。その両方を見ながら、人と組織を整えていく。
そして、その先には、企業が自ら人を育て、社員とともに成長し続けられる未来があると信じています。
大きなことを語るよりも、まずは目の前の一人、目の前の一社と真摯に向き合うこと。
その積み重ねによって、地域の子どもたちが自分の可能性を信じ、将来の選択肢を広げられる社会をつくっていきたいと思います。
人と組織の可能性を、未来へ紡ぐ。
それが、MiraiCraft八王子の歩み方であり、これからも変わらず大切にしていきたいことです。
最後になりますが、この1年間、MiraiCraft八王子に関わり、支えてくださったすべての皆さまに、改めて心より感謝申し上げます。
設立2年目も、どうぞよろしくお願いいたします。
MiraiCraft八王子株式会社代表取締役 阿川 智紀
.png)
コメント